バリ島で出会った神さま
こんにちは。
先日は夏休みでバリ島旅行へ。
最近はアグン山の火山噴火があったが、今は落ち着いている。
最近私はプライベートで瞑想やヨガをかじっており、ヒンズー教やアーユルヴェーダといったインドの伝統医学にも興味があった。
今回のバリが初めてのヒンズー教圏への渡航となったため、私の中ではとてもタイムリーで楽しみにしていた。
今回タイトルにもあるよう、たくさんの方との出逢いがあったが、その中でも二日目にカーチャーターをしてくれたムーさん(偽名)との出逢いが私の人生においてインパクトのあるものだったので、書き留めておこうと思った。
私は、最近自分がどのように生きたいか、どんな目的をもって生きたいかを書籍を中心に個人的に探っているが、今回は初めてこんな風に生きたいという人に会えた。
ムーさんとの出逢いはひょんなことから。
普通、チャーターカーを予約するのはその会社に連絡するが、私の場合はたまたま1ヶ月前に行った都内のバリ式スパのオーナーさんの紹介だった。
とても親切なオーナーさんで、私は実は財布を忘れすぐに支払いができなかったのにもかかわらず、バリ旅行についてなんでも相談にのってくれた。
旅行までムーさんとはラインで打ち合わせをし(日本語がとても上手)、バリ2日目に初めてご対面。
その日はウブドというバリ島の中心部に位置する高地の、山やライステラス(棚田)といった自然に囲まれた街への観光だった。
笑顔で迎えてくれたムーさんに、私も友人もほっとしていた。
おもしろい冗談をまじえながら愉快に車はウブドへと向かっていった。
ガイドブックに載っているところ、事前に打ち合わせした場所はもちろんのこと、穴場や時間の効率を考えたリスケなどほんとうに私たちのためを考えて提案してくれた。
そんな、気の利くお優しいムーさんの人柄は、ウブドに着く前からひしひしと感じていたが、その根端にあると思われるものが旅を進めるにつれわかってきた。
地元の方はもちろん、観光客も参拝する。
こちらはPura Tirta Empulというお寺。敷地内に入る前にお清めをする。ひとつひとつの水の出口には意味があるという。
私はこの水に入らなかったが、ヒンズー教の寺院の中に、仏教のお寺があり、そこでお清めをうけた。
一人で行ってもわからないため、ムーさんを見よう見まねで一緒にお清めをうけた。何度かお清めを受けたが、ムーさんはその度に清めてくれる人のもとにお金をおいていった。
「自分は今はおそなえができないからそのかわりにできることをしてるんだ」ということ。
バリではチャナンといって、朝と夜に小さな籠の中にお花や食べ物を玄関などにお供えする習慣がある。上の写真の手前の石の前にそなえているものが街中にあるのだ。
印象的だったのは、ムーさんはカーチャーターで観光客を案内しながらも寺院にはおそらくプライベートでもそうしているだろうという態度を示しているところ。
当たり前のことかもしれないし、ムーさんがそうなだけかもしれないし、ムーさんのお祈りに観光が妨げられたという思いは1ミリもない。ですが、日々の自然や神様に感謝している習慣が自然と現れていることに、宗教に疎い私が圧倒されただけの話なのかもしれない。
旅はどんどん進み、ジャコウネココーヒー農園、ウブドの街、世界的に有名なヨガスタジオでのヨガ体験など盛りだくさん。
終始愉快なムーさんだったが、コーヒー農園のカフェや車の中、お寺で、神さまについて、バリ人や文化について、日本人についてご自身が思ってることを話してくれた。
以下はムーさんの言葉をまとめたもの。
みんなの心の中に神さまはいる。でも考え方ひとつでそれは悪魔にもなりうる。
考え方を変えることが大事。
いいことをたくさんしても、結果がついてこないことがある。それはもう運命、自然にそうなることになっているのだからそれを受け入れていくのみ。
自然は先生。自然から生きる知恵、生活の知恵を学ぶことは大事。
バリの人はヒンズー教が多くて、神様について勉強する人もたくさんいる。
でも、財布が落ちてたら自分のものにしてしまう人もたくさんいる。
日本の人は神様について勉強している人は少ないけど、マナーを守ることで神様の教えに自然に沿うことができている。
テクノロジーに関しても、日本のテクノロジーは、火、水、風の力をしっかりとりいれていて、その資源や技術もある。
バリのスピリチュアルな考え方と日本の技術、どちらも意識的にとりいれればとてもすごい技術になると思う。
目に見えないけど、確かに存在するものはある。風や音のように肌や耳で感じられるもののように愛だって見えないけど感じることができる。
もちろん、全てのバリ人、日本人がこうだといっているわけではないことはムーさんもことわりをいれている。
私の祖母も神様や仏様、自然をとても大切にしている。
でも、少なくとも私を含め、私の周りにいる人々は宗教にうとく、自然には恩恵を求めてばかりな印象がある。
スピリチュアルは私も好きな分野だけど、うさんくさいという印象を抱く人も多いのではないだろうか。
ムーさんは、実はスパのインストラクターで、昔は日本でも講師として派遣されていたみたい。でも、バリはガツガツお金を稼げる場所ではないから、こどももいるし近々日本の工場に出稼ぎにくるのだとか。奥さんのお腹の中には妊娠まもない命がある。
ほんとうに心が豊かな人とはこういう人のことをいうのだと感じた。
7つの習慣でいう、原則中心で生きるって、こういう人のことをいうんじゃないだろうか。自然や普遍的な法則に従って生きていく人。
私は自分中心に生きてきて、これが当たり前だった。
狭い世界の中で狭いものの考え方で、それにうずまかれて生きてきた。
自分の恵みに気づかない。自分の力を生かせない。恵まれた環境を生かせない。
人と比べてばかりで自分の成長はおきざり。だから、人生がおもしろくなくなるんだ。
所詮、生まれたところにそのまますみついていたら、なんの不自由もなかったし、自分中心にだって生きることはできる。でも、この出逢いを通して、心豊かな人がとても自由で生き生きとしていて、こんな風に生きたいと思えた。
生まれる国で本当に人生は変わる。
稼げる国がある。そうでない国もある。
でも心のあり方は考え方ひとつ。生まれた場所にしばられずに自分で決めていくことができる。
ムーさんの豊かな心は、どうやって育まれたのか全ては知らないけれど、ヒンズー教やスピリチュアル、自然が大きく影響しているのはたしか。
感謝の気持ち、信じる気持ち、見返りを望まない気持ち、自然のあるがままにゆだねる気持ち。
バリではたくさんの自然に癒されたけど、私は果たして自然に優しいことをどれだけしてきただろうか。
近年は人間の生活がもたらした異常気象がまわりまわって人々に被害をもたらしている。
それでもなお、自然の悲鳴に耳を傾けず文句をいう。私もその一人になることがある。
そんなの自分勝手。
ムーさんはたくさんのことを教えてくれた。なにより態度で示してくれた。態度に人は動かされることを身をもって感じた。
ヒンズー教の教えにはこんな言葉がある。
心が変われば態度が変わる。
態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
運命が変われば人生が変わる。
小さな心の変化が人生の変化につながっていく。
25年かかってやっとここまで気づくことができた。
気づいてからが勝負なんじゃない?
ムーさんが伝えようとしていたことはなんなのか。
このバリで触れた、自然や人々の温もり、忘れないよう。
ただの旅で終わらないよう、自分の原動力へ。
自然に優しく、人に優しく、自分に優しく。
見返りや損得を考えるのではなく、愛を与え続ける。そしてたくさんの愛に敏感になり、吸収する。
みなさんも機会があったらぜひバリへ。
心の神様に気がつくことができるかもしれません。